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車谷 麻緒 (Mao KURUMATANI)
(米国ミネアポリスでプロの似顔絵師に描いてもらいました)
茨城大学 学術研究院 応用理工学野/准教授
茨城大学大学院 理工学研究科 都市システム工学専攻
福島工業高等専門学校 非常勤講師(2024年度)
日本計算工学会 理事
土木学会関東支部 運営幹事
など,その他多数
計算力学 | 応用力学 | 構造工学 | 計算機シミュレーション
大阪府立 高津高等学校 (真田丸の近く)
mao.kurumatani.jp(a)vc.ibaraki.ac.jp
0294-38-5268 (学科共通)
日立キャンパス S3棟2F 203/〒316-8511 日立市中成沢町4-12-1
土木材料の代表格であるコンクリートは,cm のスケールで見ると,粗骨材とモルタルからなる二相構造です.粗骨材の大きさ,種類,形状,数を変化させると,コンクリートの力学特性は変化します.コンクリートの力学挙動を精度よく再現するには,コンクリートを粗骨材・モルタルの二相構造としてモデル化する必要があります.しかし,コンクリート中に存在する粗骨材は形状が複雑で,数量も多く,これらを3次元で詳細に有限要素モデルに反映させるのはほぼ不可能です.モデル化ができないため,その力学挙動を解析することもできません.
そこで本研究では,「拡張ボクセル有限要素法」という新しい解析手法を開発しました.この方法は,拡張有限要素法という解析手法で用いられているレベルセットとエンリッチメントを応用した方法であり,定型の立方体メッシュの中に材料界面を埋め込んで近似することができる解析方法です.材料界面をメッシュの中に埋め込めるので,幾何形状を表すデータがあればモデル化と数値解析を行うことができます.上の図は,コンクリートの円柱供試体のX線CT画像を撮影し,それを奥行き方向に並べて,コンクリートの二相構造モデルを作成したものと,本研究で開発した「拡張ボクセル有限要素法」による数値解析の結果です.粗骨材の複雑な3次元構造をモデル化できており,さらにコンクリート内部の複雑な応力分布を可視化することもできています. |
拡張ボクセル有限要素法,レベルセット,エンリッチメント,3次元微視構造モデル,コンクリート
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コンクリートの力学的特徴は,ひび割れが発生することです.
ひび割れは単一ではなく,複数で3次元的に発生し,様々な方向に進展します.
比較的大きなひび割れは部材の耐力低下につながり,たとえ目に見えない小さなひび割れであっても,鉄筋腐食の原因となる水やイオンの移動経路になり,部材の耐久性にも影響を及ぼします.実験のみでは部材内部のひび割れを捉えきれないので,コンクリートの力学挙動を精度よく予測するには,数値解析による検討を加える必要があります.しかし,コンクリートに発生する複雑な3次元ひび割れ進展挙動を数値解析で再現するのは非常に困難です.
そこで本研究では,コンクリートに生じるひび割れを材料の損傷としてモデル化し,コンクリートの破壊力学を考慮した損傷モデルを定式化しました.そして,これを有限要素解析に応用することによって,コンクリートに発生する複雑な3次元ひび割れ進展挙動を再現できる解析手法を開発しました.上の図は,開発した解析手法を簡単な無筋コンクリート構造に適用した例です.定式化した損傷モデルは,圧縮に強く引張に弱いといったコンクリートの力学特性を表現できるため,引張が生じる側から破壊が生じる様子を再現できています.また,開発した方法は,その他にもコンクリートの基本的な力学挙動を再現できることを確かめています.鉄筋コンクリートへの応用例については,これ以降の研究内容を参照してください. |
損傷モデル,破壊力学,3次元ひび割れ進展解析,コンクリート
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土木構造物の多くは,鉄筋コンクリートでつくられています.安心で安全な土木構造物をつくるには,鉄筋コンクリートの力学挙動を精度よく予測することが重要です.鉄筋はコンクリートの弱い箇所に配置されているため,鉄筋コンクリート部材に弾性限界を超える荷重が作用すると,部材表面に加えて,部材内部の鉄筋からもコンクリートにひび割れが生じます.鉄筋コンクリートが破壊する過程を詳細に再現するには,鉄筋とコンクリートのそれぞれの力学挙動をモデル化し,鉄筋の塑性変形とコンクリートのひび割れ進展挙動を解析する必要があります.しかし,コンクリートは力学特性が複雑なうえ,3次元ひび割れ進展挙動を解析するのが困難なため,鉄筋コンクリートの破壊を精度よく再現できる解析手法はほとんど存在しません.
そこで本研究では,独自に定式化したコンクリートの損傷モデルに,鉄筋の塑性モデルを組合わせて,鉄筋コンクリートの複雑な3次元破壊挙動を精度よく再現できる破壊シミュレーション手法を開発しました.鉄筋の幾何形状を忠実に再現した3次元の鉄筋コンクリートモデルを作成し,開発した解析手法を適用したところ,上の図のように,コンクリートのひび割れ進展を含む鉄筋コンクリートの複雑な3次元破壊挙動を再現することができました.鉄筋コンクリートはりの曲げ試験を行い,試験結果と解析結果を比較したところ,提案手法による結果は試験結果を精度よく再現できることを確認しています. |
損傷モデル,塑性モデル,非線形有限要素法,3次元破壊シミュレーション,鉄筋コンクリート
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コンクリートは圧縮に強く,引張に弱い材料です.鉄筋コンクリートは,引張に弱いコンクリートを引張に強い鉄筋で補強した構造です.鉄筋は引張が生じる箇所に配置されるため,鉄筋の多くは引張を受けます.鉄筋に引張が作用すると,最初に鉄筋表面から部材表面に到達する「横ひび割れ」が生じます.その次に,鉄筋表面から最寄の横ひび割れに向かって斜め方向に「内部ひび割れ」が発生します.内部ひび割れは,鉄筋表面からコーン状に発生することが知られています.このようなひび割れを「後藤クラック」といい,最初に実験で再現した研究者の名前が付けられています.内部ひび割れは部材の外からは見えないため,数値シミュレーションを用いて,内部ひび割れが鉄筋コンクリート部材の力学性能や耐久性に与える影響を評価する必要があります.鉄筋コンクリートの力学挙動を精度よく予測するには,後藤クラックを正しく再現できなければいけません.しかし,後藤クラックを3次元数値シミュレーションで精度よく再現した例は見当たりません.
そこで本研究では,独自に定式化したコンクリートの損傷モデルを応用したひび割れ進展解析手法を用いて,後藤クラックの再現を試みました.その結果,上の図のように,最初に部材表面に到達する横ひび割れが生じたのち,最寄の横ひび割れに向かって斜めに進展するコーン状の内部ひび割れを3次元で再現することに成功しました. |
後藤クラック,内部ひび割れ,損傷モデル,3次元ひび割れ進展解析,鉄筋コンクリート
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コンクリートは荷重の作用により,大小様々なひび割れが発生します.たとえ,目に見えない微細なひび割れであっても,水やイオンの移動経路となり,鉄筋を腐食させることにより,部材の耐久性の低下につながります.ひび割れには,部材の外から見えているひび割れと見えないひび割れがあります.鉄筋表面から生じ,部材の外から見えないひび割れを内部ひび割れといいます.鉄筋コンクリートの耐久性を評価するには,内部ひび割れの発生を考慮した物質移動を解析できる方法が必要になります.しかし,コンクリートに生じる複雑な3次元内部ひび割れを精度よく再現できる方法がないため,ひび割れたコンクリート中の物質移動を詳細に再現できる解析手法はほとんどありません.
本研究では,損傷モデルを応用したひび割れ進展解析手法を独自に開発し,これを用いることによりコンクリートに生じる3次元内部ひび割れを精度よく再現できることを確かめています.この解析手法に用いられている損傷モデルを物質移動のモデル化に応用することにより,損傷を考慮した物質移動解析手法を開発しました.上の図は,鉄筋に引張を作用させた場合の内部ひび割れの進展結果と,モデル上面に塩化物イオンを与えた際の塩化物イオンの濃度分布を解析した結果です.内部ひび割れの形成によって,イオンの拡散が促進されている様子が再現されています. |
物質移動,内部ひび割れ,損傷モデル,鉄筋コンクリート
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コンクリートは,ガラスのような脆性材料とは異なり,徐々に破壊が進行する準脆性的な破壊過程を示す材料です.その原因は,材料内部の非均質性に起因して,巨視的なひび割れの先端部分に破壊進行領域と呼ばれる領域が形成されることであるといわれています.破壊進行領域内では,微細なひび割れの発生・進展,開口・閉口・連結,骨材の剥離,インターロッキングといった破壊挙動が発生し,これらが繰り返されることで巨視的なひび割れへと成長していきます.コンクリートの破壊挙動を精度よく再現するには,破壊進行領域を適切に考慮する必要があります.しかし,破壊進行領域内での破壊挙動は非常に複雑なため,多くは簡易的なモデル化が行われています.
そこで本研究では,破壊発生後の不連続面の発生と進展に加えて,閉口と接触までを考慮することで,破壊のモデル化に対する近似を極力取り除いたコンクリートの圧縮破壊シミュレーション手法を開発しました.上の左図のように,巨視的な圧縮破壊挙動を再現するために,弾性変形に加えて,微視的な引張破壊とせん断破壊をモデル化しています.コンクリートの材料の不均一性や非均質性を表現するために,ランダムな幾何性状を表すことのできるボロノイ分割を離散ひび割れのモデル化に利用し,それぞれをバネで連結して破壊をモデル化しています.右図は,開発した解析手法を用いて,モルタル,砕石を用いたコンクリート,川砂利を用いたコンクリートの圧縮破壊シミュレーションを行った結果です.真ん中の砕石を用いたコンクリートが最もひび割れが開口しておらず,砕石を粗骨材に利用したコンクリートが力学的に優れていることがわかります. |
圧縮破壊シミュレーション,破壊進行領域,ボロノイ分割,コンクリート
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コンクリートには,大小様々なひび割れが発生します.発生したひび割れは,部材の力学性能に影響を与えるだけでなく,目視で確認できない微細なひび割れであっても,水やイオンの移動経路となって部材の耐久性を低下させます.コンクリートに生じる変形を計測し,ひび割れ進展挙動を定量化することができれば,部材レベルでは損傷の判別に,供試体レベルではコンクリートの破壊機構の解明につなげることができます.従来のひずみゲージによる接触式の計測方法では,ひずみゲージを貼付した箇所での一方向のひずみしか測ることができず,計測対象全域に分布する多方向のひずみを計測することはできません.コンクリートの場合,ひび割れの発生個所をあらかじめ予測して,ひずみゲージを貼付することは困難なうえ,ひび割れの発生・進展により,時々刻々と変化するひずみ分布をひずみゲージで計測することは不可能です.
そこで本研究では,計測対象のデジタル画像を用いて,コンクリートのひび割れ進展を非接触で計測可能な手法を開発しました.具体的には,画像相関法のひとつの直接相互相関法を用い,検査領域の取り方と変位ベクトルの更新方法を検討して,計測誤差を低減させる方法を構築しました.モルタル供試体の圧縮試験を対象に,本計測手法を適用したところ,非常に高い精度でひずみを計測できることを確認しました.初期不連続面を有するモルタル供試体の圧縮試験を行い,ひずみ分布を計測したところ,上の図のように,目視では確認できない微細なひび割れも計測できることを示しました.さらに,鉄筋コンクリートはりの曲げ試験に本手法を適用した結果,実験結果と同様のひび割れ進展挙動を計測できることも確認しました. |
デジタル画像解析,直接相互相関法,ひび割れ進展計測,コンクリート,鉄筋コンクリート
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平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震において,巨大津波が発生し,防潮堤などのコンクリート構造物に多大な被害が発生しました.コンクリート構造物が津波に耐え得るように設計するには,また現存するコンクリート構造物が津波に耐えられるかを評価するには,構造物に作用する津波流体力を計算し,これを構造物に作用させて動的解析を行う必要があります.流体解析には,一般に差分法が用いられます.一方,構造解析には,一般に有限要素法が用いられます.流体と構造物とで用いる解析手法が異なることが課題のひとつです.
そこで本研究では,流体・構造物ともに有限要素法を適用し,3次元津波シミュレーションを行い,構造物に生じる内力を計算する方法を構築しました.具体的には,津波シミュレーションには安定化有限要素法を用い,構造解析には通常の有限要素法を用いました.上の図は,津波が構造物に作用し,構造物に内力が生じる様子を再現した例です.計算負荷の都合上,まだ津波を完全には再現できていませんが,流体・構造物ともに有限要素法で解析することができています. |
3次元津波シミュレーション,安定化有限要素法,構造物の動的解析
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課題(1) | 課題(2) | 課題(3) | 課題(4) | 課題(5) | 課題(6) | 課題(7) | 課題(8) |
課題(10) | 課題(11) | 課題(12) | 課題(13) | 課題(14) |
注意: 解答に間違いがあるかもしれません.どうしても答えが合わない場合は連絡してください. |
試験対策問題集(少し古いです)
試験は持ち込みできません.電卓も使用できません.
課題B1 | 課題B2 | 課題B3 | 課題B8 | 課題C1 | 課題C2 | 課題C3 |
課題D1 | 課題D3 | 課題D4 | 課題D5 | 課題D8 | ||
課題E1 | 課題E2 | 課題E4 | 課題E5 | 課題E7 | 課題E8 | |
課題G1 | 課題G2 | 課題G3 | 課題G4 | 課題G5 | 課題G6 | 課題G7 |
課題H1 | 課題H2 | 課題H3 | 課題H4 | |||
課題K1 | 課題K2 | 課題K3 | 課題K4 | 課題K5 | 課題K6 |
注意: 解答に間違いがあるかもしれません.どうしても答えが合わない場合は連絡してください. |
試験は持ち込みできません.電卓も使用できません. |
課題B3 | 課題B4 | 課題B5 |
課題D4 | 課題D5 | |
課題E1 | 課題E3 |
注意: 解答に間違いがあるかもしれません.どうしても答えが合わない場合は連絡してください. |
ドリームキャンパスを利用する場合もあります. |
事前課題を必ず仕上げること.
必修科目なので必ず出席すること.
必修科目なので必ず出席すること.
有限要素法とマトリックス解析について学びます.
土木学会・構造工学委員会・継続教育小委員会が主催する
「構造工学における有限要素法の基礎と応用講習会」で有限要素法の基礎理論を教えています.
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NPO法人・非線形CAE協会が主催する勉強会および講習会において,
連続体力学(固体力学)を教えています.
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日本計算工学会が主催するサマースクール「非線形有限要素法による弾塑性解析の理論の実践」において,
非線形有限要素法の基礎を教えています.
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鉄道運輸機構x4,国土交通省国土技術政策総合研究所,国土交通省関東地方整備局,福島県,茨城県
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